松本FP事務所「蓄財のネタ帳」

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貴方が担当なら連載やめる

新人編集者として、礼儀作法やら、先生方とのお付き合いやらを勉強していたころの話です。

情報処理資格取得経験者として、会社の出版部門の、しかも情報処理資格試験対策雑誌へ配属となりまました。右も左もわからぬ状態で仕事を憶えるので精一杯だったと記憶しています。

原稿の依頼、その原稿の引き取り、赤ペン入れ、入稿手続きの仕方(当時はまだ、手書き原稿が主流でした)、校正ゲラの著者との受け渡しなど、とにかく言われたことをそのまま言われたとおりにやるだけでした。

試験対策雑誌ですから、内容の正確性と、読者に対するわかりやすさの両方が求められました。先生方は大学などで授業の合間、会社員なら日常業務の合間にいっしょうけんめい原稿を書いてくださいます。ですが、いざ紙面に掲載しようとすると、そのままではあまりにわかりにくい原稿が届くこともしばしばあります。

試験対策講座の場合は、数式の計算結果のチェック、使用されている図形や用語などがJIS規格にのっとっているのか? プログラムなら本当に動作するのか、まですべて編集者がチェックしました。そして、チェックした上で、変更が必要な場合、すべて先生方にフィードバックし、原稿変更の許可を得ていたのです。許可を得なければ原稿は変更できない、というのが編集部での教えでした。

当時は編集長の権限が絶大で、素人目には、実際には編集長が一人で雑誌を作っているように見えました。あくまで編集者は外注部隊であり、編集長が疑問に思ったことは、全部、編集者が代わりに解決します。解決するまで入稿ができないのです。

あまりに膨大なチェックが入るので、そのチェックを次回の参考として、どんな内容ならチェックを受けずに済むのか学習しなければなりません。そして、あらかじめチェックを受けないような原稿を作るべく、先生方との打ち合わせを繰り返します。

私が入社直後にお世話になった編集長が、約4ヶ月ほどで新規に立ち上げるパソコン雑誌の編集長に抜擢され、副編集長が新編集長に昇格してから、そのチェックはさらに厳しいものになりました。ひとえに、私に早く育ってほしいのだ、と思うことからの行動だったと思ってましたが、当時の同僚いわく、単なるパワーハラスメントだったようです。

パワーハラスメントだったのかはともかく、もしかしたら、その新編集長のチェック内容のとばっちりを受けたのは、実は筆者の先生方だったのかもしれません。

私があまりにしつこく問い合わせをするためなのか、担当している先生のうち、1人(実は、大学時代の恩師のひとりでした)を除いて、そのほか全員(4人)から「現在の連載が終了したら、しばらく休みたい」と申し出されてしまったのです。

何人かは説得することで事なきを得ましたが、何人かの先生は、本当に連載が終了し、その後、音沙汰がなくなってしまいました。

辞めてしまわれた先生たちは、何をもってして、やめる決断をしたのでしょうか?

担当編集者が新人に代わった上、礼儀知らずでやってられない、と思ったのかもしれません。

情報を発信するメディアとして、実は、優良なコンテンツを発信できる優秀な人にそっぽを向かれてしまうのは死活問題です。それをつなぎとめるのは、著者なら原稿料、タレントなら出演料が、一部には担っているでしょう。

しかし実際には、人と人との付き合いの比重がとても高いのも確かなのです。優秀な企画を作れる編集者と著者がすばらしいパワーを発揮するケースは多々あります。放送なら、タレントと、その理解者であろうプロデューサー、ディレクターがいるからこそ、番組が成り立つのです。その中でもっとも重要なのは、雑誌なら著者、放送ならタレントです。

編集者、編集長は、そんな優秀な著者先生方が離れていかないよう、人間として魅力的でなければなりません。ほかのメディア系も同様です。

人どうしのつながりが重要である以上、それまでの担当者が理不尽に見える形で交代になることに違和感を感じ、仕事をやめたいと考えるのは、自然なことのようです。ですから引き止めたいのであれば、新担当者とその上司は、誠心誠意な対応を心がける必要があります。

もっとも、代わりの人がいっぱいいるのも現実であり、そんな人たちにとってはチャンスのはずです。


3月 24, 2005 日記・コラム・つぶやき |

記事と関係がありそうな本を展示させていただきます。


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