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2003年8月25日 (月)

ルール違反は許さない

パリで行われている陸上の世界選手権にて、前代未聞の珍事が起きました。

男子100m走の2次予選第2レースにて、フライングで失格した選手がダダをこね、記録無しでもいいから走らせろとアピールし、競技進行を止めてしまったのです。

今年から陸上競技のフライングによる失格規定が変更されていました。昨年までは、同一選手が同一レース内で2回目のフライングを犯した場合に、その選手が失格という処分になっていました。今年からは、同一レース内でフライングがあった場合、2度目のフライングにかかわってしまった選手全員が失格になるのです。

このフライングの処分ですが、実は水泳の競泳種目ではかなり昔から同様のルールが採用されていました。2002年4月よりはさらに厳しいスタート1回のみのルールに変更され、フライングを犯した選手は即失格となるそうです。

ただし、陸上の場合は今年ルールが変更されたばかりで、現場にも観客にも周知徹底されていない、という状況があるのです。

そして、実際に2次予選第2レースで、フライング失格者が2名も出てしまったのです。しかし、そのうちの1名が競技続行をアピール。コースにねっころがって競技進行を妨害したり、退場を命じられても居座るなど、開き直った態度を取ってしまったのです。その選手の泣きそうな、そして懇願するような顔が、会場の大型ディスプレイに映し出されると、観客までもが彼の味方になってしまいました。

収拾が着かないと判断した審判団は、第2レースを後回しにして、第3、第4レースを先に行うことにしました。そして、やり直しの第2レース。コースに立っていたのは、失格者を除いた6人だけでした。

これには観客が黙っていません。ある失格者は練習トラックで泣き崩れ、コーチに慰められる。別の失格者はコース外にポツンと座り、放心状態で状況を見つめている。そんなシーンが大型ディスプレイに表示されて、さらなる同情を誘います。

6人がスタートラインに着き、クラウチングスタイルを取ると、「Boo」と会場に響きます。抗議の叫びです。失格2選手も走らせればいいじゃないかと。そんな抗議行動が4回、5回、6回と繰り返されます。6人の選手はそのたびに集中力を高めなければなりません。他の競技の進行も止まってしまいます。正直、たまったものではなかったでしょう。

審判団の説明で、失格者が走ることがないことを説明しても、観客は納得しません。さすがに抗議行動が7回、8回と続くと疲れたのか、だんだんブーイングが小さくなってきました。そして当初予定より50分ほど遅れて、なんとか2次予選が終了したのでした。

今回のケースは、ルールの周知徹底不足に原因があると思います。10~20秒程度で勝負がつく短距離走で、今回のフライング規定がふさわしいのか確かに議論が必要です。

しかし、決められたルールがある以上、それにのっとるのがスポーツ精神というものではないのでしょうか? 周知不足とはいえ、しっかりと告知を行い、今年に入ってからの陸上競技はすべてそのルールで行われてきたはずなのです。すなわち予行演習は終えているはずなのです。

潔く退場しなかった選手、毅然とした対応を取れなかった審判団、同情心から抗議行動を起こしてしまった観客。そのすべての人に反省材料が残るのでしょう。

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