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2014年11月30日 (日)

国家財政破綻が起きるとして、何に備えればいいのか?

とあるご縁によりいただいた本を読みました。

「世界はすでに破綻しているのか?」 高城剛著

高城剛さんは、近年、沢尻エリカさんとの結婚離婚が話題になっていましたが、大昔よりハイパーメディアクリエイターなどの肩書きで活躍されている方でもあります。

高城さんがビジネスで世界中を飛び回る中で、アジア通貨危機、ロシア危機、リーマンショック、ギリシャ危機、欧州危機などを直接現地で見たり聞いたりしたことをまとめた1冊になってます。

国家が財政破綻を起こす、その前後に実際には何が起こるのか? 本によると、おおむね、次のような状況のようです。

破綻前
・バブル好景気に沸く。不動産価格、株価が高騰
・バブルがはじけて、不動産価格や株価が下落。不景気になる
・景気対策のために、政府が赤字国債を発行、もしくは通貨を大量発行する
・格付け機関が国債の格付けを下げ始める

破綻直前
・ヘッジファンドが仕掛けて、債券安、通貨安などが起こる
・インフレに歯止めがなくなり、恒常的な実質賃金減少となり、不景気が常態化する
・格付け機関が国債をジャンク級に格下げする
・債券安(金利高騰)のため、政府の資金調達が行き詰る

破綻後
・国債の処分、通貨のデノミなどが行われ、それを保有していた金融機関や投資家の財産が減る
・銀行などからの現金引き出しが制限されたうえでインフレが続き、物を買うのにも困る
・公務員への賃金カットが行われ、行政サービスが滞る
・にもかかわらず、税金などが上がり、生活がさらに苦しくなる

以上のように、あたかも時系列があるかのように書きいてみましたが、実際には財政破綻は突然宣言され、国民の多くにとっては青天の霹靂、という状態になるようです。

以上の様子が、高城氏自身の経験、取材により、各国の状況が淡々と描写されています。

そして、破綻を迎えた国の人々は、どうやってそれを乗り越えているのか、ヒントが満載です。

・外国語(主に英語)を覚えて、いつでも海外で暮らせる、稼げるように備える
・なるべく自国銀行のみに頼らず、現金を蓄えたり海外銀行に資金を移動したりする
・お金の使い方を見直し、質素に暮らすようにする
・できれば自給自足できるよう、農業を覚える

正直、あまり神経質になることはないと思います。日本は90年代以降、株価と不動産の暴落こそ経験しましたが、幸運にも財政破綻にはまだ至っていません。最近やっと日銀主導で量的緩和が始まったばかりで、インフレになるかどうかまだわからない程度です。為替の急変動が少々気になりますが、金利はまだ低いままです。

徐々に増税し、社会保障を縮小し、ほどよいインフレに持っていって借金を目減りさせることができるなら、社会が大混乱に陥るような財政破綻は起こらないでしょう。

そうは思っても、財政破綻は、起こるときには突然起こります。「絶対に起こらない」とは断言できません。それまでに自分たちで出来る限りの備えをしておくのは重要でしょうね。

本書は財政破綻前後で何が起こるのか、そして一般の人は何を備えればいいのか、を考えるきっかけとなるいい本だと思いました。

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