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2015年10月 9日 (金)

FPフェア2015:日本経済に関する4.5単位セッションの結論は「危機意識を持て!」

先日、1本目の記事を上げたとおり、2015年10月3日~4日にかけて行われた、FPフェア2015に参加してきました。

2日間通して全セッションに参加すると、FP協会の継続教育単位が9単位分になります。

実は、今回参加したセッションのうち、4.5単位分が奇しくも、日本経済、特に財政に関する話題でした。

そこで今回、その3本分をまとめて紹介します。

一言で結論を言えば、「国の借金1000兆円をどうにかするためには、待ったなしなので危機意識を持ってください」とのことでした。

●基調講演 日本経済の今後 2015年
東京大学大学院経済学研究科 教授 伊藤元重氏

伊藤教授のいつもの経済のお話でした。グローバルな視点で、直近に何が起こっていたのかをお話しされました。

2000年代に入り、ゴールドマンサックスがBRICsをキャッチーに取り上げ、実際に世界経済を牽引する成長を遂げていたが、リーマンショックを境に中国以外の国はしぼんでしまった。その中国も、2015年についにそれまで無理に投資で経済を押し上げてきた反動が起きてしまった。

これは、1980年~90年代に韓国と東南アジアが急成長したものの、97年アジア通貨危機によりブレーキがかかってしまったのに似ている。

中国に関しては、過度な悲観はいけないが、今後はこれまでのような高度成長はなかなかないだろう。

そのほかの東南アジア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ミャンマーなどが、政治的に安定するとチャンスがあるのではないか?

米国はやはり順調。人口も増えているが、「白いアメリカ」と「白くないアメリカ」に要注意。

欧州、スペインは失業率20%超えなのに成長率3.5%もある。
ギリシャがギリシャ国内問題で済みそう。
ただ、VW問題はもう少し様子を見る必要があるだろう。

では、日本はどうか。

安倍政権はおそらくあと3年続くだろうし、長期政権になれば国は大きく変われる。
もうデフレには戻れない。原油安は誤算だがおそらく物価は上昇基調になるだろう。
足元の経済が悪いのは、景気循環の都合。
労働者不足は賃上げと労働付加価値上げで対処しないといけない。
実質金利がマイナスになり、家計の資産1700兆円がどう動くか?

日本財政は1000兆円のも借金があり、現在も増え続けている。団塊の世代がいよいよ高齢化しており、医療・介護の改革は待ったなし。

税収増でプライマリーバランスを改善、できれば黒字化し、名目GDPを増やしていくしか、GDP比債務を減らしていく方法はない。

今後原油は上昇基調に戻るのか、上がった時に、今の為替の水準がまだ円安方向に行くのか、そこで計算違いのことが起きないのか、が少し心配になりました。


●ES9 日本財政破綻のシナリオ ~最悪を考え最善の道を探る~
慶應義塾大学経済学部 教授 小林慶一郎氏

慶應大学の教授のお話しでしたので期待してました。ただ、内容はすごく悲観的になりました。

目に見える効果がいまいちだが、デフレはなんとか克服された。

財政再建を後回し、経済成長を優先するのは成り立たないので、成長戦略と同時に財政再建もせねばならない。
なぜなら、公的債務がGDP比90%を超えてくると成長率が1%以上低下するから。

ちなみに、現在の政府の公的債務の名目GDP比は約240%。
仮に、純負債と比較した場合でも名目GDP比は約130%。

日本経済の公的債務GDP比を2100年までに60%ほどにするための消費税率は35%。
ただし、経済成長率2%が前提。
経済成長率が1.5%ならば、消費税率は60%以上が必要???

早くしないとコントロール不能なインフレが起こる。それは歴史が証明している。
1990年代ロシア、ブラジル
2000年代アルゼンチン

いずれにせよ、将来世代は自分の社会保障設計プロセス、政治プロセスに参加できない。それをどうするか、新しい政治が問われる。

「財政再建なければ成長なし」という雰囲気なのでしょうか? ただ、医療や介護に関しては、過剰な部分、無駄な部分があるなとは私も感じています。耳が痛い話ですが、少なくとも私たち世代が高齢者になるころには、高齢者の医療費自己負担3割とか、年金の実質目減りは避けられないでしょう。


●特別講演 日本経済の実像直視が再生への出発点 ~悲観主義でなく危機意識を~
政策研究大学院大学 理事・客員教授、世界貿易センター東京 会長 小島明氏

ダメ押しのセッションでした。

政府は現在の経済財政に関して楽観的に見ているが、現実は厳しい。

2014年4月時点の潜在成長率はわずか0.3%(日銀によると)。

1990年~2010年台にかけて、主要国で唯一、経済成長できなかった。
名目GDP 1993年 488.8兆円
       1997年 521.3兆円
       2013年 483.1兆円

その間、中国は16倍、韓国は4.5倍、アメリカ2.4倍に成長。

1人あたりGDPも一時世界1位、2000年は世界3位だったのが、2014年は世界26位でガタ落ち。

対内直接投資もかなり少ない。GDP比3.5%。ちなみに中国は10.3%、アメリカは26.2%、EUは46.2%。
日本国内に上場する外国企業も、1991年127社→現在1桁。

輸出大国であるのはすでに幻想である。GDP比では世界148か国中140位。

観光でもまだ稼げていない。GDP比たったの0.3%
ちなみに中国は0.5%、アメリカは1%、韓国が1.1%、タイが10.9%。

新陳代謝がなかなかうまくいかない日本。
開業率、廃業率ともに低レベル。稼げないゾンビ企業が多く、そのために全体の稼ぐ力が弱くなっている。

企業は貯めこみすぎ、IMFからも警鐘。
一方、家計部門はいよいよ「貯蓄率マイナス」

金融・保険業界の改革も必要。現在、生産性上昇率がなんとマイナス。

有り余る金融資産(企業も家計も)どう運用するかが重要。

危機意識を持てば、本気になれる。
70年代石油危機のときの産業飛躍を思い出せ!

一部のデータが、GDP比が小さいのは分母が大きいせいかも、と思える部分もあります。もちろん、さまざまなデータの現実をしっかり見つめるのは重要ですね。

さて、3コマ、4.5単位分のセッションを聞き、いやというほど、財政再建待ったなし、という印象を持ちました。

やはり小泉政権のころの方針をそのまま維持していればよかったのではないか? それを、郵政選挙のさいに大勝してしまい、第1次安倍政権以降、ちょっと手綱が緩んでしまったのが痛かった、ということになりそうです。

このセッションの直前に、アベノミクス新3本の矢が発表されており、さすがにきっちりとその内容まで盛り込まれてはいなかったようですが、いずれにしても人口減少の中で、社会保障改革、財政再建、そして経済成長のすべてをうまくやっていかなければならないのだろうな、と思いました。

個人としてできることは、もし財政再建をしくじり、ハイパーインフレなどになってしまっても困らない備えをしておくべきなのでしょう。国際分散投資は最低限必要なのでしょう。

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